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くろいしの日記 by しまか

kuroishino.exblog.jp

昭和の形見。

今回の震災でかろうじて残った本店ですが、2階には祖母が昭和初期に嫁入り道具として持参した足踏みミシンがありました。
幼い頃から従姉妹とそのミシンで遊ぶのが好きで、大人になってからも変わらず同じ場所にありました。
祖母が大好きで育てていた鉢植え植物に囲まれ、昔造りの廊下に静かに居りました。

2階には祖母の形見とも言える沢山の着物や帯、そして足踏みミシン。

昭和の香りが濃く残る築地本店・・・黒光りする床・・・当時は最先端だったであろうタイルの壁とステンレスの浴槽・・・祖母の家が大好きでした。

でも津波で力尽きたようです。
全壊判定で取り壊しが決まりました。

津波の後、孫たち総出で瓦礫やヘドロ除去を行いましたが、床がベコベコで歩くのが怖い2階は入っていませんでした。

早ければ今週中にも取り壊しされる様子です。

すると叔母から祖母のミシンを捨てるかどうか相談がありました。
従姉妹みんなの憧れだった足踏みミシンです。
私は譲り受けることが可能なら・・・と申し出ました。
本来なら東京に嫁いだ従妹が真っ先に欲しいはずです。
けれど東京までは運搬も難しく、築地に残しては近日中に瓦礫と化してしまう・・・。
私が預かるという形で残しておけるものなら・・・そう考えました。


今回の震災、津波で沢山の昭和も流されてしまいました。
もちろん人の命には代えられないし、そんな悠長な事態でもありません。

けれど、大好きだった「昭和」がどんどん消えていく平成の、この大津波で残った祖母の嫁入り道具の足踏みミシンは、祖母の形見でもあり築地の家の形見でもあるような気がして、捨てるには忍びないのです。


昭和初期の香り、迎えに行こうと思います。
by shimaka-info | 2011-04-19 11:23 | 新着 | Comments(0)